顎関節症専門医のつぶやき(グリデン日記)

歯科医院(通称グリデン)からの顎関節症についての情報です。

Q&A (5) 顎がカクカクしたので、口腔外科に行きましたが治りません。

Q: 最近、右の顎関節がカクカク鳴り始め、次第に食べ物を噛んでいるとき右で噛むようにすると左の関節が引っかかり右で噛みにくくなりました。近くの口腔外科に行くと、右に顔が歪んでいるとの事で、小さなマウスピースを作ってくれ、左上の歯に付けるよう言われました。しかし、マウスピースを付けたら右顎のこめかみと耳の間の骨の辺りが外れて、骨がうまくはまってないような、そんな違和感になったので付けるのをやめました。後日、その旨を先生に伝えたところ、右に顎が行き過ぎていて口を開ける時右に開くとの事で、歯を4本削られました。けれど、余計に右顎の骨に上記のような違和感が出てきてしまって、毎日顎が気持ち悪くて落ち着きません。うまく骨がハマるまで口をパクパクしちゃっている状態です。歯を削っただけで左に顎がズレる、もしくは左に口が開くようにする事は出来るのでしょうか?顎関節症の方はみんなこのような気持ち悪い違和感を抱えてるんでしょうか?


A: 顎関節症は、基本的には顎の関節と筋肉(咀嚼筋)の問題です。最近かみ合わせを治したわけでもないのに、顎がカクカクするのは、おそらく寝ている時や仕事中などに噛みしめていたりして、顎に負担がかかり、顎の中の関節円板というコラーゲンの塊がズレ、それが次第に引っかかりが強くなってきたのではないかと思います。ですから、引っかかりが違和感になり、上手く骨がはハマるまでパクパクするような状態となっていると思います。意味がわからないようなことではありません。このような状況でミニスプリントや咬合調整は、行わないのが最近の世界的な考え方です。特に歯を削るとかえって顎が不安定になるのでやめた方が良いと思います。
顎がズレるのを治すには運動療法などで顎の動きをよくすることが必要です。顎関節症は歯科で診るのが通常ですが、顎関節症の考え方は、ここ数年で大きく変わったため、現在、運動療法など、新しい治療法を残念ながらどこでも受けられるわけではありません。このブログにも詳しく書きましたが、たとえば日本顎関節学会のHPに専門医が載っていますので、それを参考に問い合わせてみてはいかがでしょうか?

Q&A(4) 顎が鳴る。顔が左右非対称。

Q:現在36歳 女性です。十代の頃から時々顎がガクっと鳴っていました。
現在ではあくび、歯科治療で口を開ける度、表情筋の運動時など かなりの頻度でガクっと鳴ります。痛みはほぼありませんが 顔が左右非対称である事に関係しているのではという疑惑や噛み合わせにも自信がないので相談させていただきました。
A:十代の頃から顎が鳴り、、現在は鳴る頻度が高くなってきたという事でしょうか?
 顎が鳴る原因として多いのは、関節の中の関節円板と言う線維状組織のズレです。  
ただ昔から鳴っていたとすると、もともとそういう骨の形の問題があるかもしれません。
一般的に顎が鳴る人の割合を、会社の検診などで調べると、4割ぐらいの人が鳴っているようですし、  関節円板のズレも、音がない人の3〜5割の人がズレていると言われているので  痛みや、口が開きずらいという症状が無ければ特に直す必要はありません。
 ただ、もし頻度が増えてきているようであれば、顎に何か負担が掛かっているのかもしれませんね。  仕事や家事の時噛みしめていませんか?

 1日で歯が当たっているのは20分程度と言われています。
 その時間が長いと、顎に負担がかかるので顎関節症になりやすいと言われています。
 咬み合せの問題と言うよりも、負担をかけている時間の問題が大きいかと思います。  
 もし、改善する可能性があるとすると、例えば大きく口を開けて、下顎を前に突き出して、上の歯より下の歯が前に出るように閉じて、前に出したまま開けてみてください。  
 これを何回かやってみて、音がしないようであれば、音が軽減する可能性があるのでこの運動を、食前食後、あるいは仕事中などに行ってみてください。

顎関節症の治療について

明けましておめでとうございます!
昨日より通常通り診療が始まりました。

初日より、数名の顎関節症の患者さんがいらっしゃいました。

これまでこのブログでも述べましたように、顎関節症は基本的には、運動器の機能障害です。
その原因は、主には生活習慣や悪習癖、あるいは睡眠時のはぎしりによる顎関節や咀嚼筋への過負荷です。ただ、ここに咬み合わせが絡む場合と絡まない場合があります。

 多くの場合、咬み合わせを触ることなく治すことができます。逆に、治療の最初に段階で、咬み合わせを変えたために、どんどん症状が悪くなり、迷路にはまり込んでしまう患者さんもいます。

 咬み合わせを変えることの多くは、歯を削ることになりますが、削った歯は戻りません。

 歯を削らずに顎関節症を治すことは多くの場合可能です。
 
 私はできれば歯を削らずに顎関節症を治したいと思っています。

 しかし、当然咬み合わせが大きく関わっている症例があるのも事実です。この場合は、早めに咬み合わせを治さないと症状が取れないこともあります。

 顎関節症を治療する歯科医師に求められるのは、目の前の症例に対してどのようなアプローチがベストかを選択出来る能力と思います。
 また、治療段階により、アプローチの仕方を変えなければいけないこともあります。この変える時期を的確に判断できることも必要です。

 同じような症状を持つ患者さんでも、それぞれ、その症状の背景を読めなければ症状の改善は望めません。

 その症状が生じた原因を知るには、患者さん本人から話を聞かないとわかりません。

 ですから、顎関節症の患者さんの治療では、通常の歯の治療よりも、お話を聞くことに時間がかかります。でも、初めを間違わないことが、結局は近道と思っています。

 今年も、顎関節症で悩む多くの患者さんを少しでも救うことができるよう努力していきたいと思っています。

 何かお困りのことがあれば是非ご相談ください。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

医療法人社団グリーンデンタルクリニック
島田淳
 

Q&A(3) 食事をする時に激痛があります。顎関節でしょうか?

Q:32歳 男性です。
  1年ほど前から、食事をするとき(かみ始めが多い気がします)左の耳たぶの横辺りの関節が涙が出るほど痛む時があります。痛みは一瞬で、少しかむのをやめて休んでいると収まり、その後は引き続き食事する事ができます。頻度は、時々、最近では昨日夜と今日の朝でしたが、その前は半月ぐらいありませんでした。又一旦痛みが出ると、食事の都度何日か続いて起こることが多いようです。痛むとき以外はまったく気にならないといっても良いほどなのですが、やはり、顎関節症なのでしょうか?

A:可能性としては舌咽神経痛など神経痛の可能性があると思います。顎関節症の場合は、使えば使うだけ痛くなると思いますので顎関節症の可能性は低いと思います。
舌咽神経痛は、三叉神経痛と同様に、発作の時間は短く間欠的ですが、耐えがたい痛みが起こります。ものをかむ、飲みこむ、せき、くしゃみなどの特定の動作がきっかけになって発作が誘発されます。痛みはのどの奥や舌の後ろから始まって、耳にまで広がることがあります。痛みは数秒から数分間続き、通常はのどと舌の片側だけに起きて、耳へ放散されます。この病気の原因の多くは血管が舌咽神経を圧迫していることですが、稀に腫瘍(類上皮腫など)が存在し、舌咽神経を刺激して症状が出現していることがあります。
 いつもではないというのは、おそらく神経が圧迫される時だけということとで、食事の時も動き始めだけ神経の圧迫があるのではないかと思われます。
 どこに行ったらいいかと言いますと脳神経外科神経内科などになるかと思いますが、顎関節症を始め歯科的な問題を除去してからのほうがいいかと思いますので、口腔外科や歯科のペインクリニックなどに、まず行かれたほうがいいかと思います。