前回更新してから、早いもので2年も経ってしまいました。前回まで連載したものをまとめて「歯医者に聞きたい 顎関節症がわかる本」として口腔保険協会というところから上梓しましたが、おかげさまで反響は大きく、取材等の連絡があり、雑誌に記事が掲載されたり、本を見て問い合わせくださる方や、実際に本を持参して来院される方もいらっしゃいます。私としては、本を上梓したことで、ひとまず顎関節症は区切りがついたかと思っていたのですが、問い合わせいただいたり、来院される方からお話を伺うと、まだまだ顎関節症の正しい考え方が、世間一般だけでなく歯科界でも理解されていないことを痛感し、「歯科顎関節症専門医のつぶやき」というタイトルでリニューアルすることにしました。
「歯科顎関節症専門医?」聞き慣れない言葉ですよね。日本顎関節学会という、主に顎関節症を扱う歯科の学会では、試験や症例報告を行い専門医を認定しています。顎関節学会のHPに掲載されています。http://kokuhoken.net/jstmj/certification/list.html
見てわかるように、日本に350人ほどしかいません。専門医がいない県もあります。顎関節学会では、全ての県に専門医を作るよう努力していますが、なかなか希望する歯科医師がいないのが現状です。最も1つの県に1人しか専門医がいないのでは、とても足りませんが・・・・。
なぜ顎関節症に力を入れる歯科医師が少ないのでしょうか?顎関節症は、通常の歯科疾患である、う蝕や歯周病と違い、目で見て原因がわかりづらい、見えないところを診る技術が必要。そのため、大学の授業などでも、しっかりとした教育が行われていません。また、現在、顎関節症の検査は、医療保険には入っていません。また治療についても、ほとんどカバーされていません。顎関節症を診るのは大変なのに、保険点数がない。そのため顎関節症を診る歯科医師が少ないという現状となってしまっています。現在、私は顎関節学会の専門医というだけでなく、理事として、顎関節症の正しい考え方を広めるべく、歯科医向けに「顎関節症治療の指針2018」http://kokuhoken.net/jstmj/publication/file/guideline/guideline_treatment_tmj_2018.pdfを、顎関節学会の委員として、大学の先生たちと作りHPに掲載しています。また、保険医療推進委員会委員長として、医療保険における顎関節症関連の項目を増やすべく、厚労省へ行くこともあります。ただ、顎関節症は、症状は同じでも、その原因や対応法は個人差が大きいので、実際の臨床では、臨機応変な対応が求められています。しかしその一方で、顎関節症のほとんどは、生活習慣病のような部分が多いので、症状が出始めたときに、適切な対応ができれば、そんなにひどくならず治る場合がほとんどですので、患者さん向けに「歯医者に聞きたい 顎関節症がわかる本」を上梓しました。ただそれでも、個々の事例を網羅することはできないので、今回から「歯科顎関節症専門医のつぶやき」として、顎関節症に悩む人に有益な情報をお届けできればと考えております。
昨日まで、日本顎関節学会がWEB開催されていて、私もシンポジウムのシンポジスト、座長、個人での口演などで係わっておりました。ちなみに来年
34回一般社団法人日本顎関節学会総会・学術大会では、副大会長として学会運営に係わることになっており、これもプログラム制作などで忙しのですが、とりあえず直近の学会は終わり一段落つきましたので、顎関節症専門医として気がついたことを「つぶやき」として掲載していく予定です。
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