顎関節症専門医のつぶやき(グリデン日記)

歯科医院(通称グリデン)からの顎関節症についての情報です。

むし歯ってみがけばとまるんだヨ 「削って詰めるなんてもったいない!」

むし歯は、ミュータンス菌による感染症ですが、感染力は弱く、菌を持っていってもむし歯になるとは限りません。むし歯ができるには、歯とミュータンス菌と糖分と時間の4つが必要です。食事をすれば、何らかの糖が、一日に何度も口の中に入りますがそれだけではむし歯はできません。歯の表面に歯と菌と糖が共にある状態が、かなり長く続くことで徐々に歯が溶けていくのです。むし歯が出来るまでには時間がかかります。ですから、感染症ではあるけれど、生活習慣病でもあります。むし歯の原因となる4つの因子が重ならないようにするためにどうしらいいでしょうか?実は、口の中の環境、つまり唾液の力が大切です。
 歯と細菌と糖と時間という4つの因子が重なると、菌が糖分を分解してできた酸で歯が溶けていきます。これがむし歯の始まりです。歯のカルシウムが溶け出すことを脱灰といいます。その後、新たな唾液の分泌により中和されて酸性から中性に戻るとカルシウムは歯に戻ります。これを再石灰化といいます。歯の表面では目には見えないけれど、絶えず溶けたり治ったりの変化、つまり、脱灰と再石灰化が起こっているのです。アメやチョコなど甘味の強い物では酸性化が大きく、戻るのに時間がかかります。また歯の質が弱いと、少し酸性になっただけで歯が溶け始めます。
 食事をするたびに唾液は酸性になりますが、規則正しい食生活と寝る前の歯磨きさえ気をつければむし歯はできません。ところが「ちょこちょこ飲み」、「だらだら食べ」で、唾液で中性に戻る間もなく次の飲食物が口の中に入ると、歯の表面で再石灰化が起こる間もなく、脱灰が起こる状態が続きます。むし歯ができる4つの要素が重なっている状態です。
 むし歯予防に大切な唾液は、毎日約1.5リットルも出て、口の中を洗い流してくれます。むし歯ができるのは、唾液の分泌が少なくなる夜寝てる間です。起きている間は唾液で洗ってくれます。しかし、厚い歯垢プラーク)で覆われていると唾液が届きません。歯垢は細菌の代謝産物で時間が経つと強固な膜状の構造(バイオフィルム)になり、唾液の力を阻害してしまいます。唾液の波にさらされている時間が長ければ歯の質は強くなっていきます。脱灰と再石灰化のバランスをコントロールする最大のポイントは、歯の表面に付着している歯垢を取り除き歯が唾液の表面にさらされる時間を長くして唾液による再石灰化を促すことです。脱灰か再石灰化か、これを丁寧に診て穴が開く前にコントロールすれば削って詰める治療は不要です。みし歯ができないようにコントロールしていくことはそんなに難しいことではありません。

むし歯ってみがけばとまるんだヨ 削って詰めるなんてもったいない!

むし歯ってみがけばとまるんだヨ 削って詰めるなんてもったいない!