顎関節症専門医のつぶやき(グリデン日記)

歯科医院(通称グリデン)からの顎関節症についての情報です。

第29回日本歯科心身医学会

第29回日本歯科心身医学会が、7月26,27日に私が特任講師をしている神奈川歯科大学顎咬合機能回復補綴学講座の玉置勝司教授が大会長のもとで開催されました。
 「心技一体の歯科医療を目指して」という心を診る目と、体を診る目の両方を上手く診れないと本当の歯科医療にならないという玉置大会長の気持ちを込めたテーマでした。当日は、立ち見が出るくらい大勢の先生方が参加してくださいました。
 歯科はどうしても技術的な面がクローズアップされがちです。当然技術が未熟では、話になりません。ただ物を扱っているわけではなく、病気を持った人を扱っているので、体だけでなく、心を診る目を養うことも大切です。現在の大学の教育では、国家試験が第一であり、なかなか臨床的な勉強をできない環境にあります。そこで、心身医学的な教育をどうしていくかというシンポジウムが行われ、現在の状況と今後についての活発な討議がなされました。また臨床家として著名な先生方をお招きし、これまでの経験をもとに、心を診る事の大切さを語っていただきました。教育講演においては、脳生理からみた咬み合わせの違和感について講演があり、これまで咬み合わせに異常がないにも関わらず、咬み合わせの違和感を訴える患者さんについて、脳の状態を診て治療に結び付けられるのではないかというお話がありました。このことからすると、咬み合わせの違和感を訴える患者さんの何割かは、脳の方の感覚が鋭くなり、通常では感じないものを違和感としてとらえる。少しの感覚が増幅して脳に伝えられることがあるそうです。その場合は咬み合わせを治すだけでは治る可能性は低く、普段なるべく上下の歯を接触させない、咬み合わせを確かめないなど日常生活での無意識な行動を行わないようにすることの重要性、あるいは感覚の鋭さを取るために薬が有効という話もありました。