顎関節症専門医のつぶやき(グリデン日記)

歯科医院(通称グリデン)からの顎関節症についての情報です。

Q&A(4) 顎が鳴る。顔が左右非対称。

Q:現在36歳 女性です。十代の頃から時々顎がガクっと鳴っていました。
現在ではあくび、歯科治療で口を開ける度、表情筋の運動時など かなりの頻度でガクっと鳴ります。痛みはほぼありませんが 顔が左右非対称である事に関係しているのではという疑惑や噛み合わせにも自信がないので相談させていただきました。
A:十代の頃から顎が鳴り、、現在は鳴る頻度が高くなってきたという事でしょうか?
 顎が鳴る原因として多いのは、関節の中の関節円板と言う線維状組織のズレです。  
ただ昔から鳴っていたとすると、もともとそういう骨の形の問題があるかもしれません。
一般的に顎が鳴る人の割合を、会社の検診などで調べると、4割ぐらいの人が鳴っているようですし、  関節円板のズレも、音がない人の3〜5割の人がズレていると言われているので  痛みや、口が開きずらいという症状が無ければ特に直す必要はありません。
 ただ、もし頻度が増えてきているようであれば、顎に何か負担が掛かっているのかもしれませんね。  仕事や家事の時噛みしめていませんか?

 1日で歯が当たっているのは20分程度と言われています。
 その時間が長いと、顎に負担がかかるので顎関節症になりやすいと言われています。
 咬み合せの問題と言うよりも、負担をかけている時間の問題が大きいかと思います。  
 もし、改善する可能性があるとすると、例えば大きく口を開けて、下顎を前に突き出して、上の歯より下の歯が前に出るように閉じて、前に出したまま開けてみてください。  
 これを何回かやってみて、音がしないようであれば、音が軽減する可能性があるのでこの運動を、食前食後、あるいは仕事中などに行ってみてください。

顎関節症の治療について

明けましておめでとうございます!
昨日より通常通り診療が始まりました。

初日より、数名の顎関節症の患者さんがいらっしゃいました。

これまでこのブログでも述べましたように、顎関節症は基本的には、運動器の機能障害です。
その原因は、主には生活習慣や悪習癖、あるいは睡眠時のはぎしりによる顎関節や咀嚼筋への過負荷です。ただ、ここに咬み合わせが絡む場合と絡まない場合があります。

 多くの場合、咬み合わせを触ることなく治すことができます。逆に、治療の最初に段階で、咬み合わせを変えたために、どんどん症状が悪くなり、迷路にはまり込んでしまう患者さんもいます。

 咬み合わせを変えることの多くは、歯を削ることになりますが、削った歯は戻りません。

 歯を削らずに顎関節症を治すことは多くの場合可能です。
 
 私はできれば歯を削らずに顎関節症を治したいと思っています。

 しかし、当然咬み合わせが大きく関わっている症例があるのも事実です。この場合は、早めに咬み合わせを治さないと症状が取れないこともあります。

 顎関節症を治療する歯科医師に求められるのは、目の前の症例に対してどのようなアプローチがベストかを選択出来る能力と思います。
 また、治療段階により、アプローチの仕方を変えなければいけないこともあります。この変える時期を的確に判断できることも必要です。

 同じような症状を持つ患者さんでも、それぞれ、その症状の背景を読めなければ症状の改善は望めません。

 その症状が生じた原因を知るには、患者さん本人から話を聞かないとわかりません。

 ですから、顎関節症の患者さんの治療では、通常の歯の治療よりも、お話を聞くことに時間がかかります。でも、初めを間違わないことが、結局は近道と思っています。

 今年も、顎関節症で悩む多くの患者さんを少しでも救うことができるよう努力していきたいと思っています。

 何かお困りのことがあれば是非ご相談ください。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

医療法人社団グリーンデンタルクリニック
島田淳
 

Q&A(3) 食事をする時に激痛があります。顎関節でしょうか?

Q:32歳 男性です。
  1年ほど前から、食事をするとき(かみ始めが多い気がします)左の耳たぶの横辺りの関節が涙が出るほど痛む時があります。痛みは一瞬で、少しかむのをやめて休んでいると収まり、その後は引き続き食事する事ができます。頻度は、時々、最近では昨日夜と今日の朝でしたが、その前は半月ぐらいありませんでした。又一旦痛みが出ると、食事の都度何日か続いて起こることが多いようです。痛むとき以外はまったく気にならないといっても良いほどなのですが、やはり、顎関節症なのでしょうか?

A:可能性としては舌咽神経痛など神経痛の可能性があると思います。顎関節症の場合は、使えば使うだけ痛くなると思いますので顎関節症の可能性は低いと思います。
舌咽神経痛は、三叉神経痛と同様に、発作の時間は短く間欠的ですが、耐えがたい痛みが起こります。ものをかむ、飲みこむ、せき、くしゃみなどの特定の動作がきっかけになって発作が誘発されます。痛みはのどの奥や舌の後ろから始まって、耳にまで広がることがあります。痛みは数秒から数分間続き、通常はのどと舌の片側だけに起きて、耳へ放散されます。この病気の原因の多くは血管が舌咽神経を圧迫していることですが、稀に腫瘍(類上皮腫など)が存在し、舌咽神経を刺激して症状が出現していることがあります。
 いつもではないというのは、おそらく神経が圧迫される時だけということとで、食事の時も動き始めだけ神経の圧迫があるのではないかと思われます。
 どこに行ったらいいかと言いますと脳神経外科神経内科などになるかと思いますが、顎関節症を始め歯科的な問題を除去してからのほうがいいかと思いますので、口腔外科や歯科のペインクリニックなどに、まず行かれたほうがいいかと思います。

Q&A (2)顎関節症の治療のためには矯正が必要ですか?

Q:
私は小学1年生の時にマウスピースで反対咬合の矯正治療をしました。
そして、現在21歳で歯科医院で顎関節症と噛み合わせの治療の為に合計5本の抜歯が必要だと診断されました。
現在の症状は、
・口の開閉がしづらい、開閉時にカクカクと音がする
・親不知、八重歯が痛い
口内炎ができやすい
・頭痛
・鼻やのどの違和感です。
 抜歯に抵抗があるのですが、抜歯したほうが良いでしょうか?

A:
 顎関節症の原因、あるいは症状が長引く主な要因は、昼間のかみしめ、あるいは軽い歯の接触と言われています。一日のうちで上下の歯が当たる時間は、食事を含めて20分程度と言われています。これは口を開ける筋と閉じる筋があるので歯が当たっているという事は、閉じる筋がずーと緊張することになります。これにより筋は緊張、関節は圧迫され、開けずらさや顎の音などが生じると言われています。かみしめる、歯が接触する癖を改善するだけで、顎の症状や歯の痛みが良くなるケースは多いです。うまくすると筋緊張性の頭痛は治ることもあります。かみしめる癖があると歯が粘膜に当たりやすくなるので口内炎ができ安いこともあります。
 またお教えいただいた口の開閉がしづらいということについてですが、口を真っ直ぐ大きく開ける練習をすることで通常は良くなります。開けずらいので開かないでいるとさらに開けずらくなってしまいます。
 試してみてください。
  矯正をしなくても顎関節症が治るケースも多いです。一度、日本顎関節学会の専門医に相談されると良いでしょう。
  日本顎関節学会のHPに専門医のリストがあります。

   @日本顎関節学会 専門医・指導医一覧