顎関節症専門医のつぶやき(グリデン日記)

歯科医院(通称グリデン)からの顎関節症についての情報です。

上下の歯を合わせない!?

 1日24時間で、上下の歯が接触しているのは、大体20分程度と言われています。これは口を開ける筋肉と閉じる筋肉があるので、上下の歯が接触していると言うことは、口を閉じる筋肉がずっと緊張して、顎を持ち上げている事になります。これでは顎をが疲れてしまいますよね。実際の調査した時に、上下の歯が接触しているかどうか調べるのは難しいので、筋肉の緊張を計測しているのですが、1960年代に、世界的に同じような研究が行われ、大体、どの調査も20分程度でした。そこで、長く時間上下の歯を合わせるのは悪習癖であると言う考え方が出てきました。それがTCH(tooth contacting habit),上下歯列接触癖と言います。今、顎関節症について調べると、あるいは歯科医院へ行って、顎が痛い、口が開かないと言うと、上下の歯を合わせないと言う話が出てきます。この事を知り、歯を離す事を気をつけるだけで、顎の痛みが取れたり、口が開くようになる人は多いと思います。でも、その一方で、そんな事言ったって、そんなに簡単にできない。気をつけてるけど良くならないと言う人も少なくないようです。これを読まれている「あなた」も頷いるのではないですか?そう、私のところに、顎の調子が良くならないと相談に来られる人は、そんな人が多いのです。
 筋肉の緊張が慢性化している人は、単純に歯を離すだけでは良くなりません。筋肉は負担を軽くするだけでは、緊張は取れないのです。では、どうしたら良いのでしょうか?マッサージ?それも一つですね。筋肉は緊張すると血流が悪くなり硬くなります。温めたり、マッサージも効果はありますが、緊張している筋肉に一番必要なのは、伸ばす事。ストレッチです。顎は、肩や膝の関節と違い、大きく口を開けると、顎の骨は、顎の関節の中から前に出ます。ですから、口を開ける筋肉のストレッチは、顎の骨が前に出るように口を開けなければなりません。具体的には、下の歯が上の歯より前に出るように動かして、その位置から大きく開けます。どうでしょう?少し顎が伸びた感じになりませんか?通常に生活しているなかでは、ここまで顎を動かす事はありません。顎が伸びるまで動かさないと、次第に筋肉も関節も硬くなってきます。そうして、顎が動きづらくなり、くいしばりやすくなり、筋肉や、関節が緊張すると言う悪循環を作っていきます。ですから、上下の歯を合わせないと言う呪文に捉われず、そんな事は気にしないで、顎のストレッチをやりましょう。気がついた時に何回もやると良いのですが、少なくとも、お風呂に入って、筋肉や関節が温まり動きやすくなった時にやると効果的です。是非、試してみてください!