顎関節症専門医のつぶやき(グリデン日記)

歯科医院(通称グリデン)からの顎関節症についての情報です。

これで顎関節症がわかる!9

2)顎関節症を放置したら?
 顎関節症は、通常、ほっておいても大部分の人は自然に症状が軽くなります。悪性疾患の様に、徐々に症状が悪化することはありません。ただ中には、慢性的な痛みとなったり、だんだんと悪くなることもありますが、そのほとんどは心身症や他の病気が絡んでいるおり、大抵は心配ありません。ただ自然に治る場合が多いと言っても、適切に対応すれば、もっと早く治る。あるいは慢性痛への移行が防げると言われているので、症状が改善しずらい場合は早めに専門医に相談したほうがいいでしょう。
 しかし症状が出ているときに、あわてて咬み合せを調整するような、後戻りができない治療を行うと、そこからかえって症状が悪化することがあります。関節や筋肉の状態が悪いという事は、これにより顎の位置が変わり、一時的に咬み合せが悪くなっている場合が多いので、そのような時に咬み合わせを変えてしまうとかえって咬み合わなくなっていってしまうので、治療はまず、生活習慣の改善、運動療法など簡単にできることからはじめることが大切です。
 最初にお話ししたように顎関節症の治療はまだ確立されていない部分があり、いろんな考え方があります。実際咬み合せが問題で顎関節症が生じているケースがあるのも事実です。ただ咬み合わせに手をつけなくても治るケースが多い
とすると、まず簡単に出来ることから行う方が、リスクが少ないかと思います。
下の図は、顎関節学会のガイドラインからの引用です。
http://www.kokuhoken.or.jp/exterior/jstmj/file/guideline_TMJ_patient.pdf
Johansson先生とList先生の研究です。左の2つのグラフは、スプリントといって、寝ている時の歯ぎしりやかみしめから顎を守る装置を入れて2〜3か月経った時症状が減少したことを示しています。右の2つのグラフは、何もせずに2〜3か月立った時にしなかった時に、症状が変わらないか、悪化したことを示しています。
ちなみに顎関節学会からは、患者さん向けのリーフレットも出ているので参考にしてください。
http://kokuhoken.net/jstmj/publication/file/guideline/primary_care_guideline.pdf

ご質問などありましたらこちらからお願いします。