顎関節症専門医のつぶやき(グリデン日記)

歯科医院(通称グリデン)からの顎関節症についての情報です。

これで顎関節症がわかる!8

(3)顎が鳴る
  顎を動かした時に音がすることがあります。これを顎関節(雑)音と言います。なぜ(雑)なのでしょうか?雑音とは、本人が気になれば雑音、気にならなければ音ということです。一般の歯科健診などで、顎の検査をすると20〜30%の人に顎関節の音が見られます。ただこれを気にしている人はあまりいません。音の原因の多くは、関節円板がズレていることです。30年ぐらい前までは、このズレを何とか治そうという試みがなされていました。アメリカでは円板を取ってしまいシリコンを代わりに入れる手術が行われていた時代があります。この手術の多くは失敗に終わり、口が開かなくなったり、痛みが取れなくなったりしたため大きな問題となり現在は行われていません。またずれた関節円板に顎の位置を合わせ、音がしない位置に咬み合わせを変えてしまう治療も多く行われていました。これは歯を何本も削って被せなければならないため、患者さんの負担も大きかったのですが、しばらくするとまた音が戻ってしまうことが多くみられました。このような中で症状の無い人の関節円板はどうなっているのか? という疑問がありましたが、関節円板の検査は造影剤を注射しないとできないことから、なかなか症状のない人の関節の状態を調べることはできなかったのですが、MRIが出てきたことにより、痛みなく関節円板の状態を調べることが出来るようになり、症状のない人の30〜40%の人で関節円板がズレていることがわかったため、現在では円板がズレていること自体は問題がないとされて、痛みや開口障害のない関節円板のズレからくる顎関節音は治療の対象ではないとされ、顎関節(雑)音に対してのみの治療は行われないのが現状です。ただ、顎の音は、噛みしめる癖があったり、片方だけで食べる癖があったり、顎関節に負担をかけると出やすいので、日常での癖を治す事や、音がしないように口を開ける練習をすることで、音の大きさが軽減する事や引っ掛かりがすくなることもあるため、セルフケアは行ってもいいかと思います。


(4)口は開くけど違和感がある
 顎に違和感があり、歯科で診てもらったけれども、口は開くので問題ないと言われて納得いかず来院する患者さんがいます。
 口は通常どおり開いていても、関節円板のズレや筋肉の緊張のせいで関節の動きが悪くて違和感が出ている場合があります。この場合はセルフケアを適切に行い、関節の動きがスムーズとなり、左右の関節のバランスが取れることで症状が軽減する可能性があります。専門医にご相談ください。

(4)頭痛や肩こりは顎関節症か?
  顎関節症は顎関節とそれに関係する筋肉の問題です。と言っても実際には顎関節症の患者さんは、顎の症状の他にいろんな症状を訴える事が多いのも事実です。これは、他の病気が共存している可能性もありますが、筋骨格系の運動障害として顎関節症を捉えると、筋肉や関節に何らかの負担が掛かり顎の症状が出ているとすると、頭の筋肉や頭を支える首の筋肉に痛みが出てもおかしくはありません。ですから顎関節症の治療を行うことで頭痛や肩こりが軽減することもあります。ただ頭痛や肩こりの原因は様々ですので、あまり酷い場合には神経内科や頭痛外来などを受診してみることも考えてみてください。

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