顎関節症専門医のつぶやき(グリデン日記)

歯科医院(通称グリデン)からの顎関節症についての情報です。

これで顎関節症がわかる!17

2)悪習癖
 ①昼間の噛みしめ、上下歯列接触
  今このブログを読んでいただいているわけですが、ちょっと画面から目を離し真っ直ぐに姿勢を正して座ってみてください。力を抜いて、心を落ち着かせてください。まっすぐ前を見て背筋を伸ばして目を閉じます。そしてゆっくり唇を閉じてみてください。どうでしょう、上下の歯は触っていますか?触っているのは、奥歯ですか?前歯ですか?また、その時に舌はどこにあるでしょうか?下の前歯に触っていますか?それとも上顎の歯茎に触っていますか?
 1日のうちで上下の歯が接触している時間はどれくらいか知っていますか?
日本だけでなく世界的にいろんな研究がありますが、どのデータを見てもだいたい20分程度です。どうでしょうか、驚かれた方もいらっしゃると思います。実際、診療室で患者さんにお話しすると、驚かれる方が多いです。実際、下の顎の骨は頭の骨と筋肉と関節でつながっているので、上下の歯が当たっていると言うのは、下の顎をずっと持ち上げていることになります。どうでしょう。例えば、手を軽く握りしめてください。強く握りしめてなくても、長く握っていれば手がこわばり、手を開くのに違和感があるかと思います。顎の筋肉や関節、あるいは歯も、ずっと力が掛かっていれば疲れてしまいますよね。ただ、これが習慣となってしまうと噛みしめていても気がつかないことがあります。
 次に両手をそれぞれ左右の頬に当てて、その状態で歯を軽く合わせてみてください。どうでしょう、頬の筋肉が硬くなったのが分かると思います。
では、今度は手鏡を持って、あるいは洗面所へ行って口を開けてみましょう。口を開けて舌や下唇の内側を見てみましょう。どうでしょうか?ギザギザしていませんでしょうか?噛みしめがあると舌や粘膜が歯に押し付けられるため、歯の跡がついてしまうのでギザギザになってしまうと言われています。特に舌の位置が口を閉じた時に下の歯にあたっていると、口を閉じているときに舌は下の歯を押すために顎に負担が掛かるとも言われています。口を閉じたら、舌は上の顎の歯茎にあたっているのが良いと言われています。
 さて、では歯が当たらないようにするにはどうしたらいいでしょうか?
  現在、歯科で歯が当たらない様に勧められている方法としては、貼り紙法という方法があります。歯を離そうと意識すると逆に疲れてしまいますよね。意識しないで歯を離す習慣を作ることが大切です。貼り紙は家や仕事場の目が付くところにそれぞれ最低でも10か所貼ってください。ここでのポイントは、普段は歯の事は意識せず、貼り紙を見た時だけ大きく息を吸って肩に力を入れ、息を吐きながら、肩の力を抜き、歯を離すことです。これによって、歯が当たると自然に離すと言う条件反射で離せるようになると言われています。
 ただそうは言ってもなかなか習慣を変えるのは難しいですよね。たとえば、靴を左側から履くのが習慣になっている人が右から無意識に履けるようになるのに一か月かかると言われています。
 また違う方法としては、例えば時間を決めて口を開けるようにする。時計の長い針が12を指した時に、3回一番大きく口を開ける。あるいはガムを噛んで柔らかくした後、それを舌の上で転がして丸くするのを続けることで歯が当たらない、顎にも力が掛からない、顎を動かすことで筋肉に血流が良くなり痛みも取れやすくなるなどの方法があります。
 いずれにしても、長時間同じ姿勢、特にうつむいた姿勢でいることは、肩こりや頭痛などの原因にもなりますので、時間を見て体を動かしリラックスすることは必要ですよね。
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