顎関節症専門医のつぶやき(グリデン日記)

歯科医院(通称グリデン)からの顎関節症についての情報です。

これで顎関節症がわかる!19

③偏咀嚼
  手に利き腕があるように、食物を咀嚼するのにも利き咬みがあると言われています。顎関節症の患者さんに聞くと良く使う方に症状が出ている場合が多いようです。ただ片方の顎の動きが悪くなると、動きが悪い側の方が痛くても咬みやすい。つまり悪くない側で咀嚼するには、悪い側をより動かすことになる、あるいは動かないため悪い方で咬むことになるのでより悪くなるようです。普段はなるべく均等に咬むようにするといいかと思います。

④姿勢
 習慣になっている姿勢を見直してみましょう。
 今このブログをを読んでいる姿勢はどんな姿勢ですか?寝転んでいたり、頬杖をついていたりしませんか?背中を丸め、首を突き出して本を読んだりパソコンをしたり、テレビを見たりしていませんか?常に肩に力が入っていませんか?あるいは、片方だけで重いものを持つなどもバランスが悪くなりますね。普段の姿勢が、顎だけでなく、首や肩さらには腰にも負担をかけている場合が多いようです。頭痛と肩こりの原因として座っているときに骨盤が後傾して、頭が前に垂れていることが言われています。頭が首の真上、首が背骨の真上にくるのが良い姿勢の基本と言われています。また、長時間同じ姿勢でいるのは、筋肉や関節の血液の循環障害が起こりますので、リラックスして体を動かす習慣を作るようにすると良いと思います。一生懸命になっているときほど、息抜きを忘れないようにしましょう。

⑤楽器、スポーツ
 管楽器の練習を過度にすることで、顎の関節や筋肉に負担がかかり顎関節症になりやすいと言われています。練習時には適度な休みをとること、症状が強いようならしばらく休むことが必要でしょう。
 またスポーツにおいて、最近歯や顎の保護のためにマウスガードが義務化されている種目も増えています。たしかにぶつかり合うことや過度に噛みしめることで顎関節症となる場合があります。それを防ぐためにマウスガードをすることは必要ですが、そこで問題になるのは、適切な咬み合せや形態で作られていないマウスガードをしていることで逆に、歯の破折、骨折や顎関節症になるケースがみられることです。特にスキューバダイビングでは合わないレグレーターを長時間噛みしめていることで口が開かなくなる症例が多くスキューバダイビングシンドロームと言われています。マウスガードが必要な場合、スポーツ歯科という分野の勉強をしている歯科医に相談してください。
 スポーツを行う際、力を入れる時にかみしめているかどうかは議論されているところですが、少なくとも顎をズラして噛みしめていると顎には破壊的な力がかかることになるので注意が必要です。

⑥環境
 普段生活している環境も顎関節症の原因となることがあります。寒くなると噛みしめることや体をこわばらせる事が多くなり、血流が悪くなるため筋肉や関節が硬くなり、顎関節症の症状が出現しやすくなります。また最近では真夏になると、どこへ行っても冷房が強いため、うっかり薄着で出歩くと風邪を引いてしまうことがあると思います。職場の席が冷房機の前で、そこで寒い思いをしていることが実は顎関節症の原因であったなど笑えない話も実在しますので、周りの環境についても考えてみてください。

⑦ストレス
 顎関節症が典型的な心身症に含まれるという事をお話ししましたが、ストレスにより、噛みしめたりすることが多くなって筋肉や関節に負担が掛かることや、痛みに敏感になることで顎関節症状が悪化する事があります。
 ストレス自体は刺激に対する反応であり、ストレスがないと人間は生きていけないと言われています。問題はその大きさと受け止める側の状態です。たとえば噛みしめなどで顎に対するストレスが掛かりすぎれば顎が痛くなる。顎に対する負担をどうするか考えるように、日常生活で問題になっていることを整理してみて、それを解決していくことも必要ですし、あるいは自分ではどうしようもない問題に対しては気分を変える事や、相談できる相手を普段から見つけておくこと、場合によっては心療内科やカウンセラーなどの専門家を頼るのも良いかと思います。
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