顎関節症専門医のつぶやき(グリデン日記)

歯科医院(通称グリデン)からの顎関節症についての情報です。

これで顎関節症がわかる!6

2.症状と経過
 1)顎関節症の症状とは?
 日本顎関節学会では、顎関節症の疾患概念を「顎関節症は,顎関節や咀嚼筋の疼痛,関節(雑)音,開口障害あるいは顎運動異常を主要症候とする障害の包括的診断名である。その病態は咀嚼筋痛障害,顎関節痛障害,顎関節円板障害および変形性顎関節症である。」としています。難しいですね。簡単に言えば、顎関節症は顎関節や咀嚼筋の痛み、顎が鳴る、口が開かないという症状を示す病気の集まりであり、顎関節症は1つの決まった病気ではないという事です。そこには筋肉の問題、顎関節の問題、関節円板(コラーゲンとよばれる線維の塊)の問題、骨の変形の4つのタイプがありそれぞれ問題となって症状を生じさせています。ですから、まずどこに問題があるかを診断することが必要です。
顎関節症の症状で多いのは咬筋、側頭筋、外側翼突筋、顎二腹筋後腹、胸鎖乳突筋などです。顎関節は関節包という線維性の組織で包まれていて、その上に靭帯があり、上下の関節が離れてしまうのを防いでいます。この靭帯、関節包を取ると下顎頭という顎の骨とそれが治まっている下顎窩、その間には、関節円板というコラーゲンがつまった、顎が動くときにクッションの役割をする組織があります。

顎関節は他の関節と違い、口を開けた時にはその場で回転するだけでなく大きく開けた時には、下顎窩から外れて前に滑走します。これは経路が決まっており、ここから外れると脱臼となります。関節円板はこの時、下顎頭と関節の骨(関節隆起)の間に挟まりクッションの役目をします。ただ顎の関節に大きな負担が掛かると関節円板はズレてしまい、口を開けた時にズレていた関節円板が戻りその時に「カクン」と言う音がします。口を閉じてきた時にまたズレるのですがこの時には音が小さいか音がしないことが多いです。

関節円板がズレただけでなく形が変わってしまい骨とくっついてしまう(癒着)と口を開けようとしても動かなくなった関節円板が邪魔をして口が開かなくなります。ただ口が開かない状態には、筋肉が痛くて開かない場合もあり注意が必要です。


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